「災害への備え」と聞いて、あなたはまず何を思い浮かべますか?食料、懐中電灯、防災ラジオ…いろいろありますが、絶対に忘れてはならないのが「水」です。人間の体は約60%が水分でできており、水がなければ生命を維持することはできません。災害で断水してしまったら…と考えると、ぞっとしますよね。
そこで重要になるのが「保存水」の備蓄です。でも、「保存水って、普通のミネラルウォーターと何が違うの?」「どれくらい用意すればいいの?」「どこに置けばいいの?」など、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。
この記事では、特定の商品を一切紹介することなく、保存水に関するあらゆる疑問に徹底的に答える「お役立ち情報だけ」を詰め込みました。この記事を読めば、あなたも今日から「保存水のプロ」になれるはず。いざという時に自分と大切な家族を守るため、正しい知識を身につけていきましょう!
保存水って、そもそも何?普通の水と何が違うの?
まずは基本の「き」から。保存水が、私たちが普段飲んでいるミネラルウォーターや水道水とどう違うのか、その秘密に迫っていきましょう。ただの水に見えて、実はすごい工夫が隠されているんですよ。
普通のミネラルウォーターとの決定的な違い
コンビニやスーパーで売っている一般的なミネラルウォーターの賞味期限は、だいたい2~3年ですよね。一方、保存水は5年、7年、中には10年、15年という驚きの長さを誇るものもあります。この差はどこから生まれるのでしょうか?
違い1:殺菌処理の方法
一番大きな違いは、徹底した殺菌処理にあります。一般的なミネラルウォーターは、自然の風味を活かすために、ろ過や沈殿、紫外線殺菌といった最低限の処理しか行っていないことが多いです。これはこれで美味しいのですが、長期間の保存には向きません。
対して、保存水は製造段階で高温による加熱殺菌処理を施している場合がほとんどです。これにより、水の中に存在する可能性のある微生物を限りなくゼロに近づけます。この徹底した殺菌こそが、長期保存を可能にする最大の理由なのです。
違い2:容器の工夫
中身の水だけでなく、それを入れる容器にも違いがあります。保存水のペットボトルは、通常のペットボトルよりも厚手で頑丈に作られています。これは、長期間の保管や、災害時の過酷な環境にも耐えられるようにするためです。衝撃で割れたり、変形したりしにくいんですね。
また、キャップも特殊な構造で、密閉性が非常に高くなっています。これにより、外部からの空気や雑菌の侵入をシャットアウトし、中身の品質が劣化するのを防いでいます。さらに、ペットボトル自体が酸素を通しにくい素材で作られているなど、目に見えない部分でも様々な工夫が凝らされています。
水道水じゃダメなの?
「わざわざ買わなくても、水道水をポリタンクに汲み置きしておけばいいんじゃない?」と思う方もいるかもしれませんね。もちろん、それも立派な防災対策の一つです。しかし、水道水には注意点もあります。
日本の水道水は、蛇口から出た時点では塩素によって殺菌されています。しかし、この塩素は時間が経つにつれて抜けていってしまうのです。一般的に、汲み置きした水道水が飲料水として使える目安は、冷暗所で保管した場合でも3日程度と言われています。それ以上経つと、雑菌が繁殖してしまう可能性があるため、注意が必要です。
毎日水を入れ替えるのであれば問題ありませんが、数年間ほったらかしで備蓄しておく、という用途には向いていません。やはり、長期備蓄を考えるなら、専用の保存水が適していると言えるでしょう。
賞味期限が長いのはなぜ?まとめ
保存水の賞味期限が長い理由をまとめると、以下のようになります。
- 徹底した殺菌処理:高温加熱殺菌などで、水中の微生物を限りなくゼロにしている。
- 高性能な容器:厚手で丈夫なペットボトルや、密閉性の高いキャップで、外部からの影響を遮断している。
- 無菌状態での充填:クリーンルームのような衛生的な環境で、無菌状態のまま水がボトリングされている。
これらの工夫が組み合わさることで、一般的なミネラルウォーターとは一線を画す、驚異的な長期保存が可能になっているわけですね。
なぜ保存水が必要なの?災害時の「水」の重要性
「備えあれば憂いなし」とは言いますが、なぜそこまでして水を備蓄する必要があるのでしょうか。ここでは、災害時における「水」の絶対的な重要性について、もう少し深く掘り下げてみましょう。
命をつなぐ水:1日に必要な水分量
人間の体にとって、水は生命維持に不可欠な存在です。食べ物がなくても数週間は生き延びられると言われていますが、水がなければわずか数日で命の危険にさらされます。
では、具体的にどれくらいの水が必要なのでしょうか。厚生労働省や様々な機関が目安を示していますが、一般的に成人1人あたり1日におよそ2.5リットルの水分が必要とされています。これは食事から摂取する水分も含まれているので、純粋な飲料水としては、最低でも1日1リットル、できれば1.5~2リットルを確保したいところです。
災害時には、不安やストレス、避難所での生活などで体調を崩しやすくなります。脱水症状を防ぎ、体力を維持するためにも、十分な量の清潔な水を飲むことが非常に重要になるのです。
飲料水だけじゃない!水の多様な使い道
災害時に必要な水は、飲むためだけではありません。私たちの生活は、想像以上に多くの水によって支えられています。
調理用の水
備蓄しているアルファ米やフリーズドライ食品、カップ麺などを作るには、水が必須です。温かい食事は、心と体を温め、安心感を与えてくれます。レトルト食品を温める「湯せん」にも水を使いますね。
衛生を保つための水
断水が続くと、衛生環境が悪化しやすくなります。感染症のリスクも高まるため、体を清潔に保つことはとても大切です。
- 手洗いやうがい:感染症予防の基本です。
- 歯磨き:口の中を清潔に保つことで、肺炎などのリスクを減らすことにも繋がります。
- 体を拭く:タオルを濡らして体を拭くだけでも、ずいぶんとサッパリします。
- ケガの洗浄:ケガをした際に、傷口を洗い流すためにも清潔な水が必要です。
トイレの水
意外と見落としがちなのが、トイレを流すための水です。断水すると、当然ながら水洗トイレは使えなくなります。携帯トイレや非常用トイレを備蓄しておくのが基本ですが、どうしてもという場合には、お風呂の残り湯や、比較的きれいな生活用水(賞味期限切れの保存水など)を使って流すことも考えられます。
過去の災害から学ぶ、断水の現実
地震や台風などの大規模災害が発生すると、水道管の破損などにより、広範囲で長期間の断水が発生することがあります。過去の大きな災害を振り返ってみましょう。
- 阪神・淡路大震災(1995年):最大約130万戸が断水し、全面復旧までに約3ヶ月を要しました。
- 東日本大震災(2011年):最大約257万戸が断水。津波による被害が甚大だった地域では、復旧に半年以上かかった場所もありました。
- 熊本地震(2016年):最大約44万6千戸が断水。復旧までには約3ヶ月半かかりました。
これらの事例からもわかるように、一度断水が発生すると、復旧までには想像以上に長い時間がかかることがあります。給水車が来てくれることもありますが、いつでも来るとは限りませんし、重い水を運ぶのは大変な重労働です。だからこそ、各家庭で十分な量の水を備蓄しておくことが、何よりも確実な備えとなるのです。
どのくらい備蓄すればいいの?必要量の計算方法
保存水の重要性はわかったけれど、「じゃあ、具体的に我が家では何リットル用意すればいいの?」という疑問が湧いてきますよね。ここでは、家族構成に合わせた具体的な備蓄量の計算方法を、わかりやすく解説します。
基本の計算式を覚えよう!
備蓄するべき水の量を計算する基本の式は、とてもシンプルです。
(1人1日あたりの必要量) × (家族の人数) × (備蓄する日数) = 備蓄するべき総量
この式に、具体的な数字を当てはめて考えていきましょう。
ステップ1:1人1日あたりの必要量を決める
まず考えるべきは、1人1日あたりにどれくらいの水が必要か、ということです。これは「飲料水」と「生活用水」に分けて考えると分かりやすいです。
- 飲料水:最低でも2リットル、推奨は3リットル。これは、飲むだけでなく、簡単な調理(お米を炊く、フリーズドライ食品を戻すなど)に使う分も含まれています。
- 生活用水:手洗いや歯磨き、体を拭く、食器を軽くすすぐなどに使う水です。これは必須ではありませんが、あるとないとでは快適さが大違い。余裕があれば、飲料水とは別に確保しておきたいところです。
政府や多くの自治体では、「最低でも1人1日3リットル」の飲料水を備蓄することを推奨しています。
ステップ2:備蓄する日数を決める
次に、何日分の水を備蓄するかを決めます。
- 最低ラインは「3日分」:災害発生後の最初の72時間は、人命救助が最優先されるため、公的な支援がすぐには届かない可能性があります。まずは自力で乗り切るための「3日分」が、最低限の備えと言われています。
- 推奨されるのは「1週間(7日)分」:大規模な災害の場合、ライフラインの復旧や支援物資の到着に1週間以上かかることも珍しくありません。可能であれば、「1週間分」を備蓄しておくと、より安心感が高まります。
家族構成別!備蓄量シミュレーション
それでは、具体的な家族構成を例に、推奨される「1週間分」の備蓄量を計算してみましょう。(計算式:1人1日3リットル × 人数 × 7日間)
| 家族構成 | 推奨される備蓄量(1週間分) | 2Lペットボトル換算 |
| 単身世帯(1人) | 3L × 1人 × 7日 = 21リットル | 約11本 |
| 夫婦のみ(2人) | 3L × 2人 × 7日 = 42リットル | 21本 |
| 夫婦+子ども1人(3人家族) | 3L × 3人 × 7日 = 63リットル | 約32本 |
| 夫婦+子ども2人(4人家族) | 3L × 4人 × 7日 = 84リットル | 42本 |
こうして見ると、かなりの量になりますよね。4人家族だと、一般的な2リットルのペットボトルで42本分。ちょっと驚く量かもしれませんが、これが「もしも」の時に家族の命と健康を守る量なのです。
ペットがいるご家庭の注意点
犬や猫などのペットを飼っている場合は、ペットのための水も忘れずに備蓄しましょう。必要な量はペットの種類や大きさによって異なりますが、普段飲んでいる量を参考に、少なくとも7日分は用意しておきたいですね。人間の保存水(特に軟水)を飲めるペットも多いですが、念のため獣医師さんに相談しておくと、より安心です。
後悔しない!保存水の選び方【5つのポイント】
さあ、いよいよ保存水を選んでみましょう!でも、お店やネットにはたくさんの種類の保存水があって、どれを選べばいいか迷ってしまいますよね。ここでは、特定の商品名は一切出さずに、純粋に「選ぶための基準」となる5つのポイントを詳しく解説します。これを読めば、あなたのご家庭にピッTAINな保存水が見つかるはずです!
ポイント1:容器の種類と特徴で選ぶ
保存水は、中身の水だけでなく、それが入っている容器も重要です。それぞれにメリット・デメリットがあるので、あなたのライフスタイルや保管場所に合わせて選びましょう。
一番メジャーな「ペットボトル」
最も一般的なのが、2リットルや500ミリリットルのペットボトルタイプです。
- メリット:サイズが豊富で、持ち運びしやすい。特に500ミリリットルタイプは、避難時に持ち出すのにも便利です。価格も比較的手頃なものが多い傾向にあります。
- デメリット:箱買いすると、かなりの保管スペースが必要です。また、使用後のゴミがかさばるという点も挙げられます。
大容量で安心「ウォーターサーバータイプ(段ボール)」
10リットルや20リットルといった大容量の水が、蛇口(コック)付きの段ボール箱に入っているタイプです。
- メリット:なんといっても大容量。1つ置いておくだけで、かなりの量を確保できます。蛇口がついているので、水を注ぐのも簡単です。
- デメリット:非常に重く、一度設置したら動かすのが大変です。保管にはある程度のスペースが必要になります。また、開封後は早めに使い切る必要があります。
長期保存と強度なら「缶」
数は少ないですが、缶に入った保存水もあります。
- メリット:ペットボトルよりも光や酸素を通しにくいため、より長期間の保存に向いています。また、衝撃に強く、容器が破損しにくいのも大きな利点です。
- デメリット:重く、かさばります。また、一度開けてしまうとキャップができないため、早めに飲み切る必要があります。
コンパクトさが魅力「アルミパウチ」
レトルト食品のような、アルミ製の袋に入ったタイプです。
- メリット:薄くてかさばらないため、防災リュックの隙間などにも入れやすいです。使用後は小さく折りたためるので、ゴミの量も減らせます。
- デメリット:自立しにくいものが多く、保管方法に少し工夫が必要です。容量が少ないものが多いため、まとまった量を確保するにはたくさん購入する必要があります。
ポイント2:水の種類(硬度)で選ぶ
水には、含まれるミネラルの量によって「軟水」と「硬水」があるのをご存知ですか?これも、選ぶ上での大切なポイントになります。
日本人に馴染み深い「軟水」
日本の水道水や国産のミネラルウォーターのほとんどは、ミネラル含有量が少ない「軟水」です。口当たりがまろやかで、クセがなく飲みやすいのが特徴です。
- こんな人におすすめ:飲み慣れた味が良い人、胃腸がデリケートな人、そして赤ちゃんのミルク作りにも適しています。粉ミルクは日本の水(軟水)で溶かすことを前提に成分調整されているため、硬水を使うと赤ちゃんの体に負担をかけてしまう可能性があります。また、和食(出汁をとる、ご飯を炊くなど)にも軟水が向いています。
ミネラル補給に「硬水」
海外産のミネラルウォーターに多いのが、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを豊富に含んだ「硬水」です。独特の風味や、しっかりとした飲みごたえがあります。
- こんな人におすすめ:普段から硬水を飲み慣れている人。ただし、飲み慣れていない人が大量に飲むと、お腹がゆるくなることがあるので注意が必要です。災害時のデリケートな体調の時には、避けた方が無難かもしれません。
ポイント3:賞味期限の長さで選ぶ
保存水は、5年、7年、10年、15年など、様々な賞味期限のものがあります。どれを選ぶかは、あなたの管理スタイルによります。
- 5年~7年ものが主流:最も種類が豊富で、価格も手頃なのがこのあたりです。後ほど紹介する「ローリングストック法」で、定期的に消費・買い替えをするのに向いています。
- 10年以上の超長期保存タイプ:「頻繁に買い替えるのは面倒」「一度買ったら、しばらく忘れておきたい」という方におすすめです。価格は少し高めになる傾向がありますが、買い替えの手間やコストを考えると、結果的に得になる場合もあります。
ポイント4:安全性の証をチェックする
大切な家族の口に入るものですから、安全性はしっかりと確認したいですよね。パッケージなどで、品質管理に関する情報をチェックしてみましょう。
- 品質管理の国際規格:「ISO22000」などの食品安全マネジメントシステムの認証を取得している工場で製造されているか、などが一つの目安になります。
- 公的機関のお墨付き:自治体や官公庁などで、防災備蓄品として採用されている実績があるかどうかも、信頼性を判断する材料になります。
ポイント5:あると嬉しい付加価値で選ぶ
最近の保存水には、いざという時に役立つ「おまけ」がついているものもあります。
- 災害用伝言ダイヤル(171)の記載:災害時に安否確認ができる伝言ダイヤルの使い方が、ラベルに印刷されているものがあります。パニックになっている時でも、これを見れば落ち着いて行動できるかもしれません。
- 目盛り付きのボトル:ボトルに目盛りがついていると、調理の際や、ミルクを作る際、家族で公平に分ける際などに便利です。
ここが肝心!保存水の賢い保管・管理術
せっかく用意した保存水も、いざという時に使えなかったら意味がありません。正しい保管方法と、無理なく続けられる管理のコツをマスターして、万全の備えを完成させましょう!
3つのNGを避ける!基本の保管場所
水の品質を長期間保つためには、保管場所が非常に重要です。以下の3つのポイントを必ず守りましょう。
NG1:直射日光
直射日光は絶対に避けましょう。紫外線はペットボトルの素材を劣化させる原因になります。また、水温が上がると、わずかに残った菌が繁殖しやすくなったり、水の風味が損なわれたりする可能性があります。窓際や、日の当たる場所に置くのはNGです。
NG2:高温多湿
温度変化の激しい場所や、湿気が多い場所も保管には向きません。夏場に高温になる屋外の物置や、湿気がこもりやすいシンクの下などは避けた方が良いでしょう。涼しくて、温度変化の少ない場所が理想です。押入れやクローゼットの奥などが適しています。
NG3:ニオイの強いものの近く
ペットボトルは、わずかですが空気を通します。そのため、防虫剤や芳香剤、灯油、洗剤など、ニオイの強いものの近くに長期間置いておくと、水にニオイが移ってしまうことがあります。せっかくの備えが台無しにならないよう、保管場所の周りにはニオイの強いものを置かないようにしましょう。
「分散備蓄」のススメ
備蓄した保存水を、家の1か所にまとめて置いておくのは、実はあまりおすすめできません。なぜなら、もし地震でその部屋が潰れてしまったり、家具が倒れて取り出せなくなってしまったりしたら、すべての水が使えなくなってしまうからです。
そこでおすすめしたいのが「分散備蓄」です。備蓄している水を、家の複数個所に分けて保管する方法です。
- キッチンやパントリー:普段使いも兼ねたローリングストック用に。
- 寝室やクローゼット:就寝中に被災しても、すぐに取り出せる場所に。
- 玄関のシューズクローク:避難時にサッと持ち出せるように。
- 車の中:外出中に被災した場合や、車で避難生活を送る場合に備えて。ただし、夏場の車内は高温になるため、長期保管には向きません。定期的に入れ替えるようにしましょう。
このように分散させておくことで、どこか1か所がダメになっても、他の場所の水を使える可能性が高まります。リスクを分散させる、賢い備え方です。
最強の管理術「ローリングストック法」をマスターしよう!
「賞味期限が長いからと油断していたら、いつの間にか期限が切れていた…」というのは、防災備蓄あるあるです。そんな失敗を防ぐための画期的な方法が「ローリングストック法」です。
ローリングストック法とは?
ローリングストック法とは、「普段の生活の中で備蓄品を消費し、使った分だけ新しく買い足していく」という管理方法です。「回しながら(Rolling)備蓄する(Stock)」というイメージですね。
ローリングストック法の具体的なやり方(保存水の場合)
やり方はとっても簡単です。
- 少し多めに保存水を買う:例えば、12本入りの箱を2つ(合計24本)用意します。
- 古いものから普段使いする:1つの箱(古い方)を開けて、普段の飲料水として飲んだり、料理に使ったりします。
- 使った分を買い足す:古い方の箱が空になったら、新しい箱を買い足して、備蓄スペースの後ろに入れます。そして、今まで手付かずだった箱(新しい方)を開けて使い始めます。
これを繰り返すだけ。たったこれだけで、常に一定量の新しい保存水が備蓄されている状態をキープできるのです。
ローリングストック法のメリット
- 賞味期限切れがなくなる:定期的に消費していくので、うっかり期限切れ、という事態を防げます。
- 味に慣れておける:いざという時に初めて飲んで「口に合わない…」となるのを防げます。普段から飲み慣れた水が、災害時のストレスを和らげてくれます。
- 経済的で無駄がない:期限切れで廃棄することがないので、環境にもお財布にも優しいです。
- 備蓄が「特別なこと」じゃなくなる:防災備蓄を日常生活の一部に組み込むことで、無理なく、気負わずに続けることができます。
最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、習慣にしてしまえばこれほど効率的で確実な管理方法はありません。ぜひ、今日から始めてみてください!
もう無駄にしない!賞味期限が近い保存水の賢い活用術
ローリングストック法を実践していると、定期的に保存水を消費する機会が訪れます。また、うっかり賞味期限が近づいてしまった保存水も、ただ捨ててしまうのは本当にもったいない!ここでは、そんな保存水の賢い活用アイデアをご紹介します。
普段の飲み水として
まずは一番シンプルな活用法。普段飲んでいるお茶やコーヒー、ジュースの代わりに、保存水を飲んでみましょう。特に夏場は水分補給が大切ですから、積極的に消費できますね。水筒に入れて職場や学校に持っていくのも良いでしょう。
いつもの料理をワンランクアップ
保存水は、料理に使うのもおすすめです。特に、塩素が含まれていない保存水(多くの製品がそうです)を使うと、素材の味を邪魔せず、料理がより美味しく仕上がるとも言われています。
- ご飯を炊く:お米を炊くときに使うと、ふっくらと美味しく炊き上がります。違いが分かりやすいので、ぜひ試してみてください。
- お味噌汁やスープ:出汁の風味が引き立ち、まろやかな味わいになります。
- 煮物:味が染み込みやすくなると言われています。
- コーヒーやお茶を淹れる:軟水で淹れると、豆や茶葉本来の香りや味を楽しめます。
- 氷を作る:普段使いの氷を、保存水で作っておくのも良い方法です。
備蓄食料の試食会で使う
災害時に食べる予定のアルファ米やカップ麺、フリーズドライ食品などを、一度家族で試食してみるのも立派な防災訓練です。その際に、賞味期限の近い保存水を使ってみましょう。「この食品にはどれくらいの水が必要か」「どうやって作れば美味しいか」などを実際に体験しておくことで、いざという時に慌てずに行動できます。
赤ちゃんやペットのために
前述の通り、軟水の保存水は赤ちゃんのミルク作りに適しています。普段からミルク作りに活用することで、スムーズに消費できますね。
また、ペット用の飲み水としてももちろん活用できます。定期的にペットの飲み水を保存水に入れ替えることで、ローリングストックができます。
生活用水としてフル活用
「飲む気にはなれないけど、捨てるのは…」という場合は、生活用水として使い切りましょう。
- お風呂に入れる:お風呂の溜め水として使えば、一気に大量消費できます。
- 植物の水やり:観葉植物やお庭の草花にあげましょう。
- 掃除や洗濯に:雑巾を濡らしたり、洗濯のすすぎ水の一部として使ったりできます。
- 災害時用の生活用水として再備蓄:賞味期限が切れたものでも、トイレを流したり、初期消火に使ったりする生活用水としては役立ちます。飲料用の備蓄とは別に、ポリタンクなどに移して保管しておくのも一つの手です。(ただし、雑菌が繁殖する可能性があるので、長期間の保管はおすすめしません)
これってどうなの?保存水に関するQ&A
ここでは、保存水に関して多くの人が抱く素朴な疑問について、Q&A形式でスッキリお答えしていきます!
Q1. 賞味期限が切れたら、絶対に飲めないの?
A. すぐに飲めなくなるわけではありませんが、飲むのはおすすめできません。
保存水の「賞味期限」は、あくまで「メーカーが品質を保証し、美味しく飲める期間」の目安です。未開封で、適切な環境(冷暗所など)で保管されていれば、期限を多少過ぎたからといって、すぐに腐って飲めなくなるわけではありません。
しかし、万が一ということもあります。風味が落ちていたり、容器からニオイが移っていたりする可能性もゼロではありません。特に、災害時というデリケートな状況では、体調を崩すリスクは少しでも避けたいもの。賞味期限が切れた水は、飲料用ではなく、前述したような生活用水として活用するのが最も安全で賢明な判断と言えるでしょう。
Q2. 開封後の保存水は、どのくらいもつの?
A. 普通のミネラルウォーターと同じです。冷蔵庫で保管し、1~2日以内に飲み切りましょう。
どれだけ長期保存できる水でも、一度キャップを開けてしまえば、空気中の雑菌が入り込んでしまいます。そうなると、もう「長期保存できる特別な水」ではありません。開封後は必ず冷蔵庫で保管し、できるだけその日のうちに、遅くとも翌日中には飲み切るようにしてください。大きなボトルを開封した場合は、清潔な水筒やペットボトルなどに移し替えて保管するのも良いでしょう。
Q3. 水道水を沸騰させて冷ませば、長期保存できる?
A. 残念ながら、長期保存には向きません。
水道水を一度沸騰させると、確かに殺菌はできます。しかし、同時に殺菌効果のある塩素も抜けてしまいます。つまり、冷まして容器に入れる過程で、空気中の雑菌が混入してしまうと、それを防ぐものが何もない状態になってしまうのです。そのため、かえって雑菌が繁殖しやすくなる可能性もあります。湯冷ましが清潔な状態で持つのは、せいぜい1日程度と考えておきましょう。
Q4. お茶やジュース、コーヒーは水の代わりになる?
A. 完全な代わりにはなりません。むしろ水分補給の妨げになることも。
お茶やコーヒーに含まれるカフェインや、ジュースに含まれる糖分には、利尿作用(おしっこを体から出す働き)があります。水分を摂っているつもりでも、それ以上に体外へ排出してしまい、かえって脱水症状を引き起こす可能性があるのです。もちろん、気分転換や嗜好品として飲むのは良いですが、生命維持のための基本的な水分補給は、必ず「水」で行うようにしましょう。
Q5. 保存水を凍らせて保管しても大丈夫?
A. おすすめできません。容器が破損するリスクがあります。
水は凍ると体積が増えます。そのため、ペットボトルに満タンの状態で凍らせると、容器が膨張して破損したり、キャップ部分が壊れて密閉性が損なわれたりする可能性があります。そうなると、解凍した際に水が漏れたり、品質が劣化したりする原因になります。冷凍庫のスペースも取りますし、特別な理由がない限り、常温で保管するのが基本です。
Q6. 井戸水は災害時に使える?
A. 安易に飲むのは危険です。水質検査が必要です。
ご自宅に井戸がある場合、災害時には貴重な水源になり得ます。しかし、地震などの影響で地層が変動し、水質が悪化している可能性があります。見た目はきれいに見えても、有害な細菌や化学物質が混入しているかもしれません。飲む前には必ず専門機関による水質検査を行うか、信頼できる簡易的な水質検査キットを使用してください。安全が確認できない場合は、煮沸したとしても飲用は避け、生活用水として利用するのが賢明です。
まとめ:未来の自分と家族を救う、今日の一歩
ここまで、保存水について、これでもかというくらい詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
保存水は、単なる「災害用の水」ではありません。それは、未来に起こるかもしれない「もしも」の事態から、あなた自身と、あなたの大切な家族の命と健康、そして尊厳を守るための、最も基本的で重要な「保険」なのです。
たくさんの情報を詰め込みましたが、大切なのは、まず行動を起こしてみることです。
- まずは、我が家の必要量を計算してみる。
- 次に、どこに置けるか、保管場所を考えてみる。
- そして、無理のない範囲で、最初の保存水を用意してみる。
2リットルのペットボトル1本を備えるだけでも、それは大きな一歩です。この記事が、あなたの防災意識を高め、具体的な行動を起こすきっかけとなれたなら、これほど嬉しいことはありません。
災害は、いつ、どこで起こるか誰にも予測できません。だからこそ、日頃からの備えが、未来の安心につながります。さあ、今日から一緒に、賢い備えを始めてみませんか?

