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もしもの備え!簡易トイレの完全ガイド

「災害は忘れたころにやってくる」なんて言いますけど、本当にそうですよね。地震や台風、大雨による断水…想像しただけでドキドキしてしまいます。そんな「もしも」の時、意外と見落としがちだけど、ものすごく大切になるのが「トイレ問題」なんです。

水が止まってしまったら、普段使っている水洗トイレはただの箱になってしまいます。避難所のトイレは長蛇の列で、衛生状態も気になる…。考えただけでも、ちょっと憂鬱になりませんか?

でも、安心してください!この記事では、そんな非常時の強い味方、「簡易トイレ」について、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説していきます。この記事の目的は、特定の商品をおすすめすることではありません。ランキング形式で「これが一番!」と紹介するようなこともしません。そうではなくて、簡易トイレに関する純粋な知識、つまり「どんな種類があるの?」「どうやって選べばいいの?」「どうやって使うの?」といった、皆さんが本当に知りたい情報だけを、ぎゅぎゅっと詰め込みました。

災害対策はもちろん、キャンプや登山のアウトドア、長距離ドライブでの渋滞対策、さらには介護や小さなお子さんがいるご家庭でも、簡易トイレの知識はきっと役立つはずです。この記事を読み終える頃には、「なるほど、簡易トイレってそういうことだったのか!」「これなら自分でも備えられるぞ!」と思っていただけるはず。さあ、一緒に「トイレの備え」について、学んでいきましょう!

なぜ簡易トイレが必要なの?

「簡易トイレって、本当に必要なの?」「なんとかなるんじゃない?」そう思う方もいるかもしれません。でも、トイレを我慢することは、私たちが思う以上に心と体に大きな負担をかけるんです。まずは、簡易トイレがなぜ「必須アイテム」と言えるのか、その理由を具体的に見ていきましょう。

災害時:トイレ問題は命に関わる

災害、特に大規模な地震が起きた直後を想像してみてください。多くの地域で断水が発生し、マンションなどでは停電で水をくみ上げるポンプが止まってしまうこともあります。そうなると、家庭の水洗トイレは一切使えなくなります。

  • トイレが使えないストレス
    生理現象は待ってくれません。「トイレに行きたいのに行けない」という状況は、想像を絶するほどの精神的ストレスになります。特に、プライバシーが確保しにくい避難所では、この問題はさらに深刻になります。
  • 不衛生な環境と感染症のリスク
    使えるトイレが限られると、そこに人々が殺到します。あっという間にトイレは汚れ、悪臭が漂い、ノロウイルスなどの感染症が広がる温床になりかねません。過去の災害でも、トイレの衛生問題から体調を崩す人が後を絶ちませんでした。
  • トイレを我慢することによる健康被害
    これが最も恐ろしい点です。トイレに行く回数を減らすために、水分や食事を控えるようになる人がたくさんいます。すると、どうなるでしょうか?
    脱水症状はもちろん、血流が悪くなることで「エコノミークラス症候群(急性肺血栓塞栓症)」のリスクが急激に高まります。これは、長時間同じ姿勢でいることなどで足の静脈に血の塊(血栓)ができ、その血栓が肺の血管に詰まってしまう、命に関わる深刻な病気です。また、尿を我慢することで膀胱炎腎盂腎炎といった尿路感染症を引き起こす可能性もあります。つまり、トイレを我慢することは、二次的な健康被害、いわゆる「災害関連死」に直結する危険な行為なのです。

自宅で避難生活(在宅避難)を送るにしても、ライフラインが復旧するまでの間、トイレ問題は必ず発生します。だからこそ、各家庭で簡易トイレを備えておくことが、自分と家族の健康と尊厳を守るために不可欠なんです。

アウトドア・レジャー:もっと自由に楽しむために

簡易トイレが活躍するのは、災害時だけではありません。楽しいはずのアウトドアやレジャーシーンでも、トイレ問題はつきものです。

  • キャンプや登山
    自然豊かなキャンプ場や登山道では、トイレが設置されていなかったり、あっても山小屋まで何時間も歩かなければならなかったりすることも珍しくありません。特に、小さなお子さん連れの場合、「トイレ!」と言われてもすぐに対応できないと、せっかくの楽しい時間も台無しです。そんな時、携帯できる簡易トイレが一つあれば、心に大きな余裕が生まれます。
  • 車中泊や長距離ドライブ
    最近人気の車中泊でも、簡易トイレは心強い味方です。夜中にわざわざエンジンをかけてトイレのある場所まで移動するのは面倒ですし、防犯上も不安ですよね。また、ゴールデンウィークやお盆の高速道路での大渋滞。サービスエリアまで何キロも…なんて状況、経験したことありませんか?そんな絶望的な状況でも、車に簡易トイレが一つあれば、安心して渋滞を乗り切れるかもしれません。
  • イベントやフェス
    野外フェスや花火大会など、多くの人が集まるイベントでは、仮設トイレに長蛇の列ができるのが当たり前。ゆっくり音楽を楽しみたいのに、トイレの心配ばかり…なんてことにならないためにも、携帯トイレを持参するという選択肢は、賢い自己防衛策と言えるでしょう。

介護や育児:日常の「困った」を解決

さらに、簡易トイレは日常生活の中でも、さまざまな「困った」を解決してくれます。

  • 在宅介護の負担軽減
    夜中、ベッドからトイレまで移動するのが大変なご家族の介護をしている場合、ポータブルタイプの簡易トイレが寝室にあれば、本人も介助者も負担が大きく減ります。転倒のリスクを減らすことにもつながります。
  • 子どもの「急なトイレ!」に
    公園で遊んでいる時や、車での移動中、子どもは本当に突然「おしっこ!」と言い出しますよね。近くにトイレが見当たらない時の親の焦りといったら…。そんな時、さっと使える携帯トイレがあれば、親子ともにパニックにならずに済みます。トイレトレーニング中の「お守り」としても活躍します。
  • 病気や怪我で動けない時に
    急な体調不良や怪我で、ベッドから起き上がるのが辛い時にも、簡易トイレは役立ちます。無理にトイレまで移動する必要がなくなり、安心して療養に専念できます。

このように、簡易トイレは「もしも」の災害時だけでなく、私たちの日常生活の様々なシーンで、安心と快適を支えてくれる、とても便利なアイテムなのです。

簡易トイレにはどんな種類があるの?

「簡易トイレ」と一言で言っても、実は色々なタイプがあります。ここでは、それぞれの特徴を、メリット・デメリットと合わせて詳しく見ていきましょう。どんなタイプが自分の目的や状況に合っているか、考えながら読んでみてくださいね。

凝固剤タイプ

おそらく、皆さんが「簡易トイレ」と聞いて一番に思い浮かべるのが、このタイプではないでしょうか。災害用の備蓄として最もポピュラーなものです。

  • 仕組みは?
    このタイプの心臓部とも言えるのが、「高分子吸水ポリマー」という粉末状の凝固剤です。紙おむつなどにも使われている素材で、自重の何百倍もの水分を吸収して、あっという間にゼリー状に固めてしまう性質を持っています。排泄物に含まれる水分をこの凝固剤で固め、可燃ゴミとして処理できるようにするのが、このタイプの仕組みです。
  • メリット
    最大のメリットは、そのコンパクトさです。凝固剤と排便袋(汚物袋)がセットになっていて、箱や袋にまとめて収納されているため、省スペースで保管できます。100回分といった大容量セットでも、本棚やクローゼットの隅にすっきりと収まります。また、水分をしっかり固めることで、雑菌の繁殖を抑え、嫌な臭いを閉じ込める効果が期待できるのも嬉しいポイントです。多くの製品が10年以上の長期保存に対応しているため、一度備えておけば長期間安心です。
  • デメリット
    使うたびに、便器に袋をセットし、用を足した後に凝固剤を振りかける、という一連の作業が必要です。緊急時や暗闇の中では、少し手間に感じるかもしれません。また、凝固剤の性能によっては、完全に固まるまでに少し時間がかかったり、排泄物の量によっては固まりきらなかったりする可能性もゼロではありません。
  • どんな人におすすめ?
    「災害用の備蓄をしっかりしておきたい」「保管スペースはあまりない」「コストを抑えたい」という方には、この凝固剤タイプが最も適しているでしょう。

吸収シートタイプ

凝固剤タイプの「振りかける手間」をなくしたのが、こちらの吸収シートタイプです。

  • 仕組みは?
    排便袋の底にあらかじめ高分子吸水ポリマーなどが含まれた吸収シートが貼り付けられています。用を足すと、シートが自動的に水分を吸収してくれるという、とてもシンプルな仕組みです。
  • メリット
    何と言っても、手間がかからないのが最大の魅力。袋をセットするだけで準備OKで、使用後に凝固剤を振りかける必要がありません。小さなお子さんや、緊急で焦っている時でも、直感的に使いやすいと言えるでしょう。
  • デメリット
    凝固剤タイプに比べて、1回あたりのコストがやや高くなる傾向があります。また、吸収シートが一体化している分、凝固剤タイプよりもかさばることが多く、同じ回数分を備蓄しようとすると、より広い保管スペースが必要になる場合があります。
  • どんな人におすすめ?
    「とにかく簡単に使えるものがいい」「備蓄だけでなく、車にも積んでおきたい」「少しでも手間を省きたい」という、手軽さや利便性を重視する方におすすめです。

ポータブルトイレタイプ(便座付き)

「やっぱり、座れないと落ち着かない…」という方のために、便座そのものがセットになっているタイプです。

  • 仕組みは?
    プラスチックや段ボールでできた、組み立て式の便座(便器本体)と、排泄物を受けるための処理袋(凝固剤や吸収シートとセット)を組み合わせて使います。普段使っている洋式トイレに限りなく近い感覚で使用できるのが特徴です。
  • メリット
    最大のメリットは、その安定感と安心感です。特に、足腰に不安のある高齢者の方や、和式トイレに慣れていないお子さんにとっては、しっかりと座れる便座があるだけで、心身の負担が大きく軽減されます。耐荷重が100kg以上ある頑丈な製品も多く、大柄な方でも安心して使えます。トイレの無い部屋に設置できるので、介護用としても非常に便利です。
  • デメリット
    便座本体があるため、どうしても保管にかさばります。折りたたみ式のものが多いですが、それでも凝固剤だけのタイプに比べると、ある程度の収納スペースが必要です。また、使用する際には便座を組み立てる手間がかかります。災害時に、慌てずに組み立てられるか、一度練習しておくと安心です。
  • どんな人におすすめ?
    「高齢者や小さなお子さんがいるご家庭」「在宅介護で使いたい」「自宅のトイレが和式で、洋式でないと使えない家族がいる」「安定感を最優先したい」という方には、非常に心強い選択肢となります。

携帯トイレ(ポケットタイプ)

災害備蓄というよりは、「今すぐ、ここで!」という緊急事態に対応するための、持ち運びを前提としたタイプです。

  • 仕組みは?
    チャック付きの小さな袋状になっており、袋の内部に凝固剤や吸収シートが組み込まれています。袋の口が広く、体に当てやすいように工夫されているものが多く、男女兼用で使える製品がほとんどです。
  • メリット
    手のひらサイズで非常にコンパクトかつ軽量なため、カバンや車のダッシュボードに気軽に入れておけるのが最大の強みです。渋滞中の車内、登山中、イベント会場など、まさに「どこでもトイレ」を実現してくれます。使用後はチャックを閉めれば臭い漏れも少なく、一時的な保管がしやすいように設計されています。
  • デメリット
    あくまで緊急用なので、容量は小さめです。製品にもよりますが、大人の排尿1~2回分が目安です。また、立ったまま、あるいは座ったままの不自然な体勢で使うことになるため、慣れないうちは少し使いにくさを感じるかもしれません。
  • どんな人におすすめ?
    「長距離ドライブや車での旅行が多い」「登山やアウトドアが趣味」「防災ポーチに入れて常に持ち歩きたい」「災害備蓄にプラスして、外出時の緊急用も備えたい」という方にぴったりです。家族の人数分、カバンや車に常備しておくと、いざという時に本当に助かります。

簡易トイレを選ぶときのチェックポイント

さて、簡易トイレには色々な種類があることが分かりましたね。では、実際に「我が家にはどれがいいんだろう?」と考えた時、どんな点に注目して選べば良いのでしょうか。ここでは、商品そのものではなく、あなたのニーズに合った簡易トイレを見つけるための「考え方」のヒントをいくつかご紹介します。

備蓄するなら「回数」と「期間」を考えよう

災害備蓄として簡易トイレを準備する場合、まず考えたいのが「どれくらいの量が必要か?」ということです。闇雲にたくさん買っても、少なすぎても意味がありません。

  • 備蓄の目安は「最低3日分、推奨1週間分」
    これは、食料や水の備蓄と同じ考え方です。災害発生からライフラインが復旧するまで、あるいは支援物資が届くようになるまでには、一般的に3日程度かかると言われています。しかし、大規模な災害の場合は、復旧が大幅に遅れることも想定されます。そのため、できれば1週間分の備えがあると、より安心です。
  • 必要回数の計算方法
    次に、具体的な回数を計算してみましょう。成人が1日にトイレに行く回数は、平均して5回~7回と言われています。ここでは、少し多めに見積もって、「1人あたり1日5回」と仮定してみます。この数字をベースに、家族の人数と備蓄したい日数を掛けてみましょう。

    計算式: 1人1日5回 × 家族の人数 × 備蓄日数 = 必要な回数

    例えば、4人家族で1週間(7日間)分を備蓄する場合は、

    5回 × 4人 × 7日 = 140回

    となり、140回分の簡易トイレが必要だということが分かります。思ったより多いな、と感じた方もいるかもしれません。でも、これがリアルな数字です。まずは最低3日分(この場合60回分)から始めて、少しずつ買い足していくという方法でも良いでしょう。

  • 使用期限も忘れずにチェック
    簡易トイレ、特に凝固剤は、長期保存が可能な製品がほとんどです。多くの製品で10年、中には15年といった長期間の品質保持がうたわれています。備蓄として購入する際は、この使用期限が長いものを選ぶと、頻繁に買い替える手間が省けます。購入したら、箱や目立つ場所に購入日と使用期限をマジックで書いておくと、管理がしやすくなりますよ。

「凝固剤」の性能をチェック

凝固剤タイプの簡易トイレを選ぶ上で、最も重要なパーツが「凝固剤」そのものです。どんな点に注目すれば良いのでしょうか。

  • 凝固力とスピード
    排泄物の水分を、素早く、そしてしっかりと固めてくれるかどうかは非常に重要です。水分が残っていると、臭いの原因になったり、持ち運ぶ際にこぼれてしまったりするリスクがあります。
  • 消臭・抗菌効果
    排泄物の臭いは、衛生面だけでなく精神的にも大きなストレスになります。特に、自宅や避難所の限られた空間で何日も過ごすとなると、臭い対策は必須です。多くの簡易トイレ用凝固剤には、アンモニア臭などを抑えるための消臭成分や、雑菌の繁殖を防ぐための抗菌成分が配合されています。どのような対策がされているか、パッケージの説明などを確認してみるのも一つの手です。

「処理袋」の素材とサイズも大切

意外と見落としがちですが、排泄物を受け止める「袋」も、快適に使うための重要な要素です。

  • 袋の厚みと強度
    袋が薄くてペラペラだと、設置する時や使用後に縛る時に破れてしまうのではないかと不安になりますよね。中身が漏れ出すなんて、考えただけでも恐ろしいです。ある程度の厚みがあり、破れにくい素材(ポリエチレンなど)でできているか、というのは大切なチェックポイントです。
  • 袋のサイズ
    袋のサイズも重要です。特に、自宅の洋式トイレにかぶせて使う場合、袋が小さいと便器のフチまでしっかり覆うことができず、ずり落ちてしまったり、隙間から汚れてしまったりする可能性があります。ご家庭の便器のサイズに合うか、少し大きめで余裕のあるサイズの袋がセットになっていると安心です。
  • 防臭性能
    凝固剤だけでなく、袋そのものに防臭効果のある素材を使っている製品もあります。凝固剤の消臭効果と合わせ技で、臭い対策がより万全になります。

「便座」の有無と形状

ポータブルトイレタイプを検討している場合は、便座の使い勝手も考えましょう。

  • 座りやすさと安定感
    特に高齢の方が使う場合、便座の高さや座面の広さが重要になります。低すぎると立ち座りが大変ですし、座面が小さいと不安定に感じることがあります。普段使っているトイレに近い高さやサイズ感のものを選ぶと、違和感なく使えるでしょう。
  • 耐荷重
    便座がどれくらいの重さまで耐えられるかを示す「耐荷重」も必ず確認したいポイントです。家族の中で一番体重の重い人が使っても問題ないか、余裕を持った耐荷重の製品を選ぶと安心です。
  • 組み立てやすさ
    災害はいつ起こるかわかりません。いざという時に「組み立て方がわからない!」なんてことになったら大変です。誰でも簡単に、直感的に組み立てられるシンプルな構造のものが望ましいです。購入したら、一度平時に組み立ててみて、手順を確認しておくことを強くおすすめします。

「セット内容」を確認しよう

簡易トイレは、凝固剤と袋だけがセットになっているシンプルなものから、あると便利なグッズが色々含まれているものまで様々です。

  • 基本セット
    「凝固剤」「排便袋(汚物袋)」の2つが基本です。製品によっては、使用後の排便袋を入れるための「処理袋(持ち運び袋)」がセットになっている場合もあります。
  • あると便利な付属品
    以下のようなものがセットになっていると、さらに便利で安心です。
    • ウェットティッシュ、ポケットティッシュ:衛生管理の必需品です。断水時には手が洗えないので、特に除菌効果のあるウェットティッシュは重宝します。
    • 目隠しポンチョ:避難所や屋外など、プライバシーの確保が難しい場所で使う場合に非常に役立ちます。頭からすっぽりかぶれば、周りの目を気にせず用を足すことができます。

もちろん、これらの付属品は個別に準備することも可能です。まずは基本的な簡易トイレセットを用意して、自分たちの家族構成や避難計画に合わせて、必要なものを100円ショップなどで買い足していくというのも、賢い方法ですね。

簡易トイレの正しい使い方と注意点

簡易トイレを備えたら、次は「いざという時に、正しく使えるか」が重要になります。ここでは、基本的な使い方から、衛生的に使うためのコツ、そして使用後の処理方法まで、詳しく解説していきます。一度、頭の中でシミュレーションしながら読んでみてください。

基本的な使い方(凝固剤タイプを例に)

ここでは、最も一般的な凝固剤タイプを、自宅の洋式トイレに設置する場合を例にご紹介します。

  1. 準備:便器に袋をセットする
    まず、トイレの便座を上げます。そして、セットになっている排便袋(大きめの黒い袋など)を便器にすっぽりとかぶせます。この時、袋の口が便器の外側にくるようにして、空気を抜きながら、できるだけ便器の内側に密着させるのがポイントです。
  2. 固定:便座を下ろして袋を挟む
    袋をかぶせたら、その上から便座をゆっくりと下ろします。こうすることで、袋が便座と便器本体の間に挟まれて固定され、使用中にずり落ちるのを防ぐことができます。これで準備は完了です。
  3. 使用:いつも通りに用を足す
    準備ができたら、便座に座って用を足します。普段のトイレと同じ感覚で大丈夫です。もし、トイレットペーパーがある場合は、使用後にそのまま袋の中に入れます。
  4. 凝固:凝固剤を振りかける
    用を足し終わったら、立ち上がる前に、排泄物全体に行き渡るように凝固剤を1包、まんべんなく振りかけます。水分が少ないと固まりにくい場合があるので、大便の時などは、コップ半分の水(約100ml)を一緒に入れると、しっかり固まりやすくなることがあります。(※製品の使用方法に従ってください)
  5. 処理:袋を縛って取り出す
    凝固剤が水分を吸収して固まるまで、数十秒~数分待ちます。固まったのを確認したら、便座を再び上げ、便器から袋を慎重に取り出します。この時、袋の中に残っている空気をゆっくりと抜きながら、袋の口を固く、そして二重に縛ります。臭い漏れを防ぐための、とても重要な工程です。
  6. 保管:処理袋に入れて保管する
    縛った排便袋を、セットの処理袋(持ち運び用の袋)に入れます。もし処理袋がなければ、別のビニール袋で二重にすると、より衛生的で臭いも気になりにくくなります。あとは、ゴミ収集が再開されるまで、ベランダや玄関先など、臭いや衛生面が気にならない場所で一時的に保管します。

バケツや段ボール製便座を使う場合も、基本的な流れは同じです。大切なのは、「袋をしっかり固定すること」「使用後にしっかり縛ること」です。

使用後の処理方法

使用後の汚物袋は、一時的に家庭で保管する必要があります。その後の処分方法は、お住まいの自治体のルールによって異なります。

  • ゴミ収集が再開されたら
    多くの自治体では、簡易トイレの汚物袋は「可燃ゴミ(燃えるゴミ)」として出すことができます。紙おむつと同じ扱い、と考えると分かりやすいかもしれません。
  • 必ず自治体のルールを確認!
    ただし、これはあくまで一般的なルールです。自治体によっては、出し方について特別な決まりがある場合も考えられます。災害時には、自治体からゴミの出し方について広報があるはずなので、その指示に必ず従ってください。平時に一度、お住まいの市区町村のホームページで「災害時 ゴミ」などのキーワードで検索し、ルールを確認しておくと、いざという時に慌てずに済みます。「うちの地域はどうなってるんだろう?」と、今、調べてみるのが一番の防災です。

衛生管理のポイント

簡易トイレを使う上で、何よりも気をつけたいのが衛生管理です。特に、家族など複数人で同じ場所で過ごす場合、一人の不衛生が感染症の拡大につながる可能性があります。

  • 使用前後の手指消毒
    断水していて手が洗えない状況を想定し、アルコール手指消毒液除菌ウェットティッシュを簡易トイレのそばに必ず常備しておきましょう。簡易トイレの準備をする前と、使い終わって汚物袋を処理した後の、2回のタイミングで必ず手指の消毒を行う習慣をつけましょう。
  • トイレ空間の換気
    もし室内で簡易トイレを使用する場合は、定期的に窓を開けるなどして換気を心がけましょう。臭いをこもらせないだけでなく、空気中に浮遊する可能性のあるウイルスや細菌の密度を下げる効果も期待できます。
  • こまめな清掃
    万が一、便座周りなどが汚れてしまった場合は、除菌シートなどですぐに拭き取りましょう。「少しだから大丈夫」という油断が、衛生環境の悪化につながります。

プライバシーの確保

衛生面と並んで重要なのが、プライバシーの問題です。特に、リビングなど家族の共有スペースに簡易トイレを設置せざるを得ない場合や、避難所で使用する場合には、周りの目が気になって、トイレに行くこと自体がストレスになってしまいます。

  • 目隠しポンチョの活用
    簡易トイレのセットに含まれていることもある「目隠しポンチョ」は、非常に優れたアイテムです。頭からすっぽりかぶるだけで、360度のプライベート空間が瞬時に完成します。軽量でコンパクトなので、防災リュックに入れておくことを強くおすすめします。
  • 空間を仕切る工夫
    自宅で使う場合は、部屋の隅に簡易トイレを設置し、つっぱり棒とカーテンや大きな布を使って簡易的な個室を作るのも良い方法です。家具の配置を工夫して、死角を作るだけでも、心理的な負担はかなり軽減されます。
  • 車内で使う場合の注意点
    車内で携帯トイレを使う際は、外からの視線を遮るために、サンシェードやカーテン、タオルなどを全ての窓に取り付けましょう。プライバシー確保と同時に、防犯対策にもなります。

少しの工夫で、心身ともに安心して使える環境を作ることができます。これも大切な「備え」の一つですね。

簡易トイレにまつわるQ&A

ここまで読んで、簡易トイレについての知識が深まってきたかと思います。最後に、皆さんが疑問に思いそうな点をQ&A形式でまとめてみました。さらに細かい不安や疑問をここで解消していきましょう!

Q. 凝固剤に使用期限ってあるの?

A. はい、あります。ただし、非常に長期間です。多くの製品は、製造から10年~15年という長期保存が可能になっています。凝固剤の主成分である高分子吸水ポリマーは、化学的に安定した物質なので、正しく保管していれば性能が大きく劣化することはありません。「正しく保管」とは、高温多湿、そして直射日光を避けるということです。押し入れやクローゼットの天袋など、普段あまり開け閉めしない涼しい場所が保管に適しています。購入したら、外箱に使用期限を書いておくと、いざという時に「これ、まだ使えるかな?」と不安にならずに済みますよ。

Q. 大便と小便、両方に使えるの?

A. はい、ほとんどの簡易トイレは大小便どちらにも対応しています。ただし、凝固剤は水分に反応して固まる仕組みなので、水分の少ない大便だけの場合、固まりにくいことがあります。そのため、多くの製品の説明書には「大便の際は、コップ1杯程度の水を入れると固まりやすくなります」といった記載があります。断水時に貴重な水をトイレに使うのはためらわれるかもしれませんが、衛生的に処理するためには必要な工程です。生活用水として、お風呂の残り湯などを少し確保しておくと、こういった場面で役立ちますね。

Q. 使ったトイレットペーパーはどうしたらいい?

A. 使用したトイレットペーパーは、排泄物と一緒の袋に入れて、凝固剤で固めてしまうのが一般的です。ただし、あまり大量のペーパーを入れると、凝固剤が水分を吸収するのを邪魔してしまい、固まりにくくなる原因になることがあります。普段から、必要以上にペーパーを使わない意識も大切かもしれませんね。そして、何より忘れてはいけないのが「トイレットペーパーそのものの備蓄」です。簡易トイレだけあっても、拭くものがなければ困ってしまいます。省スペースで保管できる芯なしタイプのトイレットペーパーなどを、食料や水と同じように備蓄しておきましょう。

Q. 賃貸マンション住まいだけど、どうやって備えればいい?

A. 賃貸マンションにお住まいの方こそ、簡易トイレの備えは重要です。なぜなら、停電で断水用ポンプが止まったり、排水管が損傷したりすると、高層階であるほど復旧に時間がかかる可能性があるからです。備え方のポイントは以下の通りです。

  • 保管場所:省スペースで保管できる凝固剤タイプがおすすめです。クローゼットやベッドの下、玄関のシューズボックスの上など、デッドスペースを見つけて収納しましょう。
  • 使用場所:万が一の際は、お風呂場やベランダの隅などがプライバシーを確保しやすい場所になります。どこで使うかをあらかじめ想定しておくと、慌てずに済みます。
  • ゴミの保管:これが一番の課題かもしれません。使用後の汚物袋は、ゴミ収集が再開されるまで一時的に保管する必要があります。臭いが漏れないようにしっかりと袋を二重三重に縛り、蓋つきのバケツや大きめのポリタンクなどに入れてベランダで保管するのが現実的です。そのための蓋つき容器も一緒に準備しておくと万全です。

Q. 簡易トイレって、手作りできるって聞いたけど…?

A. はい、市販の簡易トイレが手に入らない、あるいは切らしてしまった場合の緊急的な代替手段として、身近なもので簡易トイレを手作りする方法もあります。あくまで最終手段という位置づけですが、知っておいて損はありません。

【作り方の例】

  1. 洋式トイレの便器に、大きめのゴミ袋(45Lなど)を二重にかぶせます。一枚目が便器の汚染防止用、二枚目が排泄物を受ける用です。破れないように、厚手のものが望ましいです。
  2. 二枚目の袋の底に、水分を吸収するものを敷き詰めます。例えば、細かく裂いた新聞紙ペット用のトイレ砂(猫砂)ペットシーツ赤ちゃん用の紙おむつ(吸収体部分を広げる)などが使えます。これらが水分と臭いを吸収する、凝固剤の代わりになります。
  3. 用を足したら、上からさらに新聞紙などをかぶせ、二枚目の袋だけを慎重に取り出して、口を固く縛ります。

この方法は、あくまで応急処置です。市販の凝固剤に比べると、凝固力や消臭・抗菌性能はかなり劣ります。臭いも発生しやすいですし、衛生管理にはより一層の注意が必要です。やはり、基本は市販の簡易トイレを十分に備蓄しておくこと。手作り方法は、「最後の砦」として覚えておく、というスタンスがおすすめです。

まとめ:備えあれば憂いなし!今すぐできるトイレ対策

今回は、特定の商品を紹介するのではなく、「簡易トイレ」そのものについて、種類や選び方、使い方から素朴な疑問まで、とことん掘り下げてみました。いかがだったでしょうか?

この記事を通して、簡易トイレが単なる「災害用グッズ」ではなく、私たちの健康と尊厳を守るための、非常に重要な「備え」であることを感じていただけたなら、とても嬉しいです。

災害時に水や食料が不足することも大変ですが、トイレを我慢し続ける生活は、心と体に静かで深刻なダメージを与えます。エコノミークラス症候群や感染症のリスクを高め、災害そのものではなく、その後の避難生活で命を落とす「災害関連死」にもつながりかねない、重大な問題なのです。

そして、簡易トイレの活躍の場は、災害時だけではありません。週末のアウトドアや長距離ドライブ、日々の介護や子育てといった、私たちの日常のちょっとした「困った」にも寄り添ってくれる、頼もしい存在でもあります。

この記事でご紹介した選び方のポイントを参考に、「我が家には何回分くらい必要かな?」「凝固剤タイプがいいか、便座付きも検討しようか」「車にも携帯トイレをいくつか積んでおこうかな」など、ぜひご家庭で話し合ってみてください。その話し合いこそが、防災の第一歩です。

備えあれば、憂いなし。

「いつかやろう」ではなく、「今日やろう」。この記事が、皆さんのご家庭の「トイレの備え」を見直すきっかけとなり、万が一の時も、そして普段の生活でも、皆さんが安心して過ごせる一助となれば幸いです。さあ、まずはご家庭の防災ストックを確認するところから始めてみませんか?

この記事を書いた人
ぬくもり案内人

ふだんは、のんびりとした生活を楽しみながら、毎日の暮らしに“ちょっとしたぬくもり”を届けることを大切にしています。寒い朝に手に取るマグカップ、洗面所にそっと置かれた柔らかいタオル――そんな小さなアイテムに宿る「心地よさ」に魅せられ、気がつけば日用品や雑貨の魅力を伝えることがライフワークに。

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